Portraits of Past – Cypress Dust Witch


Portraits of Past – Cypress Dust Witch CD ¥640
Released in 2009 by Excursions Into The Abyss

Portraits of Pastの2009年の再結成4曲入りEP。フォロワーも誰もできなかった1995年のLPのあの「続き」を見事にやってのけた、これまた名盤と言っても良い1枚。
1曲目の”Fire Song”から意味分からないほど凄すぎて、当時楽弥君や哲史さん(asthenia初代ドラム)とやべーやべーと盛り上がりすぎてた記憶。
この曲の中盤以降のオリエンタルな展開とかもう謎すぎて天才もしくは宇宙人としか思えない。
来日公演がまた凄まじかったんだ。

※こちらはExcursions Into The Abyss版です。Cosmic Note版とは盤面やケースなどのデザインが異なります。

上:Excursions Into The Abyss
下:Cosmic Note

Portraits of Past – Discography


Portraits of Past – Discography CD ¥940
Released in 2008 by Ebullition

短いレビュー
1994年から1995年にかけて活動していたPortraits of Pastのディスコグラフィー。激情とかエモとかハードコア好きな人全員マストで聴く価値のある作品。



長いレビュー

Ebullitionの数あるクラッシックの中でもベスト・オブ・ベスト(金字塔)として評価する人も多いPortraits of Pastの全曲集。
とはいえ1995年にオリジナルのLPを発表した当初から人気があったわけではなくて、むしろ最初はほとんど売れず(曰く「完全に売れ行きがストップしていた時期があった」とのこと)、Ebullitionもジャケの紙が足りない時に「裏紙」として使っていたくらい。

解散後だいぶ年月がたってから急速に再評価が進んで、売れまくったは良いものの裏紙とかに使ってたせいでジャケが足りなくなり、シルクスクリーンで新たにジャケを作りなおしたので、ジャケが数種類存在しているんだそうです。
オリジナルはこのディスコグラフィーと同じデザインで、再発は複数パターンあるけどどれも白地にシルクスクリーンを刷ったもの。

面白いっすよね~。こういう話本当大好きです。Ebullitionのサイト結構こういう話載せてて面白いので暇なときとか読んでみるのおすすめします。

* * *
今となってはクラッシックだけど、1995年当時、この音が早すぎたっていうのは何となく分かる気がしますね。
曲をパートごとに分解するとどのパートも超絶にかっこいいんだけど、全体として聴くと抽象的・・・というかアート的というか。

歌詞も抽象的で説明もないし。メンバー謎に化粧しているし。
曲も性急で何となく哀愁は感じさせるけど、悲壮感は感じさせない。むしろ初期のThe Cureとかに近い耽美的な印象すら受けます。
ギターは終始不思議なトーン。
突然の疾走。手数の多いドラム。
叫んでるのに怒りも悲しみもあまり見えてこない、地声混じりの線の細いボーカル。

めちゃめちゃポリティカルなバンドが多かった当時のシーンの中で、こういう曖昧な要素ばかりのPortraits of Pastは正直「分かりにくい、評価しにくい」バンドだったのではなかろうかと思います。
けど、それこそがこのバンドの特異な魅力だったわけで。

* * *
良いとか悪いとかじゃなくて、後にも先にも「Portraits of Pastだけでしか聴けない」独自の世界観をいきなり確立させたのが、このバンドの凄さであり、謎でもあり、カルト的に愛されている所以でもあると思います。
ていうか、未だにPortraits of Pastに似てるって感じたバンド出会ったことないなと。
強いて言うなら後期theSunのギターサウンドには少し共通するものを感じましたが、世界観は全く別物だし(良い悪いではなく)。

とにもかくにも、いわゆる激情ハードコアのアティチュード的な側面ではなく、アート的な側面を代表するバンド/作品としてマストで聴いて欲しい1枚。

最初のボーン、ボーンっていう音、何かのSEかと思ったらライブでギターで完全再現してて驚いた記憶。2009年の再結成ライブ、今思い返しても本当凄かった。

1~7曲目がオリジナルのLP、8曲目がEbullitonのXXXコンピ、9曲目が”Stealing the Pocket”コンピ、10~11曲目がBleedとのスプリットEP、12~13曲目が1995年のギルマンストリートでのライブ、14~16曲目が同じく1995年のラジオ局でのライブの収録曲。

そのあとドラムのMatthewはFuneral DinerやWho Calls So Loudなどで活躍、残りのメンバーはVueというインディー・バンドでSub Popからリリースしたりしてました。ちなみに最近Noisey読んでて驚いたんですけど、Hot Hot Heatというメジャーなバンドの代表曲“Bandages”(当時けっこう好きだった)の元ネタがVueの“White Traffic”らしいです。そしてHot Hot Heatの前身はInstillという激情バンド(紛らわしいけどInstilではない)。

2017年もナードが辞められない。

Dystopia – Human = Garbage


Dystopia – Human = Garbage CD ¥1,120
Released in 2014 by Tank Crimes (originally released in 1994 by Common Cause / Life is Abuse / Misanthropic)

「暗黒郷」というバンドの「人間=ゴミ」という酷いタイトルの傑作アルバムの再発CD版。
スラッジとかクラストとかドゥームとか呼ばれたりもしてますが、そのどれも正解であり不正解であるような、独特で形容しがたい音。
分かりやすいサバス・リフとかモッシュパートとかテクニカルなリフとかそんなの一切出てきません。
精神を蝕むようなアルペジオとザラついた轟音、そして病み闇ウギャウギャ・ボイスが織りなすミサンスロピー宣言集。確実に肉体よりも感情に作用するタイプの音だと思います。

1~5曲目がオリジナルの”Human = Garbage” LPで、6~11曲目がEmbitteredとのスプリットEP(1992年)、12曲目がGriefとのスプリットEP(1992年)の曲。
6曲目以降の初期の音源はボーカルが違っており、よりデスメタル的なサウンド。

16ページのブックレット付き。

V.A. – XXX Some Ideas Are Poisonous CD


V.A. – XXX Some Ideas Are Poisonous CD ¥1,090
Released in 1995 by Ebullition

Ebullitionのクラッシック・コンピ。ここでしか聴けないFrailの名曲”Drought“や、Portraits of Past、フランスのオペラ激情Shatter the Myth, 初期ニュースクール代表Endeavor, Threadbare, The Promise Ringの前身のNone Left Standingなど収録。LPサイズのジャケですが、こちらはCD版です。

ストレイト・エッジを全面に押し出すバンドはほとんど収録されていないですが、これは「結局、Straight Edgeとはあくまで個人の選択の一つに過ぎない」という当時30歳を超えていたKentの考え方を反映した面子だそう。中に入ってるコラムがめちゃめちゃ面白いので、sXeの人もそうでない人も是非一読をば。

Yaphet Kotto – We Bury Our Dead Alive CD


Yaphet Kotto – We Bury Our Dead Alive CD ¥940
Released in 2004 by Ebullition

賛否両論わかれたYaphet Kottoの3枚目にしてラスト・アルバム。
前作、前々作が名盤であることは多くの人が認めるところだと思うんですが、今作は人によって大分評価分かれますよね。
なんせ今まで最大の魅力だった「青さ」や「エモーショナルさ」がほぼ消えてしまってるんす。
代わりにポスト・ロック的な静寂パートや壮大なミドルテンポの展開が増えてるんだけど、「Yaphet Kottoに求めてるのはそれじゃないよ!」ってのが大半の意見だったかと思います。

当時交流の多かったenvyやCity of Caterpillarの諸作に影響受けたのかなと何となく予想したりしますが、個人的にその辺の影響下のポスト・ロック+激情という風潮が苦手だったので、僕自身今作にはハマれなかった組です。。

・・・。

はい、ただ決して悪い作品ではありません!ここから良い点書いてきます。

まずそのMagの高音ボーカルの「歌」が唯一大々的に聴ける”The Constant Ringing”、これは文句なしにかっこいい!前作を思わせる曲なんですが、一瞬だけ非常に今作的なポスト・ロック的なパートをポロロン、と入れて、「お?」と思わせた瞬間またエモ・パートへ全力で再突入!本当に一瞬だけどこの「一瞬」の入れ方がかっこ良すぎ。これは前作と今作の良いところだけ詰まった、今作でしか聴けないタイプのYaphet Kottoの名曲だと思います。

そして”Chime The Day“という曲、これはズバリ断言しますが間違いなく「Finger Printみたい曲」を目指して作ったでしょうね。ていうのも彼らはJasemineのカバーとかもしてるし、間違いなくフレンチ・エモ大好きなはず。このクラストともユースとも違う2ビートの疾走感、そして中盤でエモーショナルに落としてラストでまた2ビートで疾走する感じ、すごくStonehenge的だしやりたくなるのすごい分かります。

あと散々言ってますが、ポスト・ロック的な楽曲でも要所要素で良いなって思うパートは沢山あります。例えばタイトル曲”We Bury Our Dead Alive“のイントロとかめちゃめちゃ好きですし、実質ラストの”Chime the Night“の終盤の沈み込むようなメランコリックさ(少し”First Meetings Agreement”の終盤を連想させます)も素晴らしい。

というわけで駄作ではないし聴く価値がないとも全く思わないけど、Yaphet Kottoの音源として聴くのは一番最後で良いかなという感じの音源です。
これ以外の音源が全部良すぎるってのもあるかな。

Orchid – Gatefold CD


Orchid – Gatefold CD ¥980
Released in 2002 by Ebullition

再入荷。Orchidの3rdアルバムにしてラスト音源。ハードコアのマッチョイズムを徹底排除し、スキニージーンズ・白ベルト・お洒落な髪型・病的に痩せた体系、という後に悪い意味で記号化してマスに消費されてしまうファッション・スタイルでも知られるバンドですが*、彼らの場合単なるファッションではなく「アンチ・マッチョイズム」「アンチ・ジョック」という主張を伴った格好だったのではなかろうかと思います。

音の方はというと、Uranus辺りが元となって生まれた「エモ・バイオレンス」というサブ・サブ・ジャンルを徹底的に洗練させたアルバムで、すさまじく混沌としてグシャッ!てしてるのにスタイリッシュさすらある、というすごいアルバム。
海外のダイハードなエモ・バイオレンス好きに言わせるとゴチャゴチャしすぎてるとかエモに寄りすぎてるから過去2作の方が良いって意見もあったりするみたいだけど、僕個人的にはこれが最高傑作ですね。

19曲25分。激情ハードコアってよく言われるけど、僕的には極限まで攻撃性と知性を強めた「エモ」って捉えるのがシックリくる(だから評価が分かれるのか)。

現在メンバーはAmpereやRitual MessというバンドでOrchid直系の音を鳴らしてます。

*オリジナルはJustin Pearsonと思われる



(以前のサイトに楽弥君が書いたレビュー)

おはようございます。
これ書くにあたって朝からOrchid聴いてます。
頭痛くなってきました。ぼーっと聴いてたらもう5曲目流れているし…
でも意外に僕のiPodの再生回数が一番多いのがOrchidなんでして。
学校まで歩いて登校する時の怒りのBGMとしてかなりの頻度で聴いてます。笑
なめられちゃいかん…なめられちゃいかん..っと。

2002年リリースのOrchidのラストアルバム。
早くて、短くて、うるさい。三拍子揃ってます。

宜しくお願いします。
(片桐)

Policy of 3 – An Anthology 2xCD (SOLD OUT)


Policy of 3 – An Anthology 2xCD ¥1,270 *Sold Out
Released in 2005 by Ebullition

再入荷。”Nine Years Old”は色褪せないクラシック。


(以前のサイトに書いたレビュー)

1993年~1995年を中心に(結成は1989年)活動していたニュージャージー出身4人組、Policy of 3の2枚組アンソロジー。Ebullition Recordsから、2005年リリース。

当時のフライヤー見ると、結構Hooverとかと一緒にライブしてることが多かったみたいですが、実際最初のLPの頃まではHooverとかとも共通項のあるDCポスト・ハードコアの影響濃い殺伐とした楽曲に左翼思想の強い歌詞を叫ぶエモーティブ・ハードコアといった様相。

不穏なイントロから不安定なボーカルまで全て名曲でしかない”1%”や、余り語られないけど中盤の暗いブレイクダウンが最高すぎる”Of the Wolf”など、この時代も凄まじくかっこいい曲残してるんですが、それ以上に活動末期に急激にエモ化した3曲が名曲すぎる・・・!

それまでの殺伐・不穏・不協和音・混沌なトーンから打って変わって、穏やかでいてひたすらエモーショナルな楽曲に、叫ぶのではなくスポークンワードに近いスタイルで語るように歌うこの3曲。Moss IconからHuman Handsまで脈々と続くスポークンワードエモ(と勝手に呼んでる)の系譜の中でも、至宝とも呼べる”9 Years Old”を始め、激情とは違うエモーションを漂わせる彼らの個人的最高傑作です。

個人的にこの3曲に限って言うなら、その後メンバーがやっていたFour Hundred Yearsのどの曲より好きです。Four Hundred Yearsもめちゃめちゃ好きだけど。

このアンソロジーだとその3曲が頭に来て、その次に激エモ時代の名曲”1%”が来るので5曲目以降結構だれるんですが(笑)、それでも聴く価値ありすぎな2枚組アンソロジー。
Moss Icon, Julia, Still Life, Native Nod, Human Hands辺りからHoover, Hose.Got.Cable, Detrytus, Sleepytime Trioなど好きな方に是非。